エヴァネッセンス(2003年)ワインド-アップ・レコーズと契約した3人は、2002年にアルバム『フォールン』のレコーディングを開始。12月29日にホッジスが脱退するもアルバムを完成させ、2003年3月4日に同作品でアメリカでデビューとなった。アルバムからのリードシングル「ブリング・ミー・トゥ・ライフ - Bring Me To Life」が映画「デアデビル」のサントラに使用された事もあり大ヒットを記録。世界で1400万枚のセールスを記録した。グラミー賞では最優秀新人賞と最優秀ハードロック・パフォーマンス賞を受賞。
メガ・セールを記録してブレイクした『Fallen』のショーケース・ライヴとして、このCD/DVDコンボはエヴァネッセンスのパリでのツアー、ハイライトを記録したものだ。ここでの演奏はジョン・ルコンプとテリー・バルサモのギタリストたちが鳴らすギザギザ・ギターに頼っているが(コーン「Thoughtless」の強力なカバーでバンドのピークに達している)、結局はメロドラマ的で、ゴスをルーツにもつカリスマ的なヴォーカル、エイミー・リーの魅力こそがバンドの要だ。飾りを取っ払いながらも、派手に演奏した「Bring Me to Life」や「My Immortal」、そして陰のある優美な「Breathe No More」で、リーはオルタナティヴのディーヴァは自分だと高らかに宣言している。全体としては、ここでの力強い演奏はこのライヴ盤が時期尚早ではなく、バンドの一段とダイレクトな音楽の方針とたっぷりしたライヴ感覚を充分に記録したものだと主張している。このアルバムには未発表音源でその名もふさわしいタイトルの「Missing」スタジオ・レコーディングが収録され、DVDには気の利いたショットや編集されたライヴのパフォーマンス、さらに4本のビデオや、1時間に渡るフーテージとインタビューが収録されている。(Jerry McCulley, Amazon.com)
映画『デアデビル』のサウンドトラック盤は、それまで無名だったアーカンソー州リトル・ロック出身のこの4人組にとって格好の起爆剤となった。エヴァネッセンスの手がけた曲、「My Immortal」と印象的な「Bring Me to Life」は、映画の中でも明らかに際立っていた。物語の基調となる劇的で不気味な雰囲気をうまくとらえていたのが勝因だろう。そのエヴァネッセンスが、今度はデビュー・アルバムで再登場。やはり沈んだトーンのトラックが多く、トーリ・エイモスやクランベリーズといったメランコリックなアーティストたちを引き合いに出したくなる。ヴォーカルのエイミー・リーは、何週間も眠れなくなりそうな声を聴かせるが、「Tourniquet」や「Haunted」のような曲では違和感がある。これらの曲は、不吉なムードと同じぐらい強い精神性を持っており、嵐の中にいくばくかの光を投げかける思慮深さを感じさせるからだ。(Aidin Vaziri, Amazon.com)
破局ほどあなたの音楽の女神を集中させるものはない。マルチ・プラチナとなって大成功を収めた『Fallen』に続くこのセカンド・アルバムは、バンドメイトのベン・ムーディとのロマンスが手のつけられないほど厄介なことになり、ヴォーカルのエイミー・リーが非難、暴露、自責に満ちた不安なアルバムを作りだすことを余儀なくされて書いたものだ。エイミーは自分を形づくるすべてのものに疑問を投げかけた。リスナーにとっては魅惑的な旅だ。エイミーは自分自身の暗い心情を思い切って解放し、悲痛で完璧な声が挫折と突破の間にある不安定な崖っぷちで宙づりになっている。2003年のツアー中に去ったギタリストのムーディを含めてメンバー2人を失ったにも関わらず、このアルバムは成熟し、洗練されており、初期の作品には見られなかった独特のビジョンを持っている。複雑な楽器編成、不穏な心象風景、現実離れしたコーラスと、レッド・ツェッペリンの『Physical Graffiti』のような風格があってエキゾチックなこの『The Open Door』は、このバンドに何ができるかをはっきりと示している。「Snow White Queen」はマライア・キャリー「We Belong Together」のゴス・バージョンだ。同じようにアンセムになる曲だが、マライアの曲よりもずっと気骨があって苦痛に満ちている。--Jaan Uhelszki